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2018.09.11

湯川 正洋

伝えたいことが伝わってない!?生死をかけた爆弾解除ゲームで学ぶコミュニケーション改善

目次
    1. 情報の非対称性がもたらす不幸
    2. Keep Talking and Nobody Explodes
    3. ワークの流れ
    4. ワークの結果、気づき
    5. まとめ

アレアレして、次にコレを…違う違う!アレコレするんじゃなくて、アレアレ…」

エンジニアとプランナー、開発と運用、身近なところでは自分と実家の母とのパソコンが動かなくなった系の相談など、お互いの持っているスキルや情報が違う(=情報の非対称性がある状態)とよくあるやり取りではないでしょうか。でもこの厄介なやり取りの原因が自分の癖だったら? または少しやり方を変えるだけで改善できるのであれば?

今回はゲーム「Keep Talking and Nobody Explodes」を使った、自分のコミュニケーションの癖や改善方法を見つけるワークを紹介します。


情報の非対称性がもたらす不幸

先程あげた例の中でエンジニアが馴染み深いのは、ITに疎い家族とのやり取り(特に電話の時!)ではないでしょうか。

母親「パソコン動かへんのやけど」

自分「パソコンの電源、コンセントにささってる?」

母親「ささってるよ」

自分「じゃあそのケーブル、パソコンにささってる?」

母親「ささってる…あ、抜けてたわ」

もはや慣れた方なら、母親がパソコンを動かせるようになるまでのフローチャートができているかもしれません。上の例も、物理層でのトラブルをきっと何度も乗り越えてきた秘伝のタレなんでしょう。

しかし家族ではなく、仕事や遠い関係の方とであれば、「根本的な帰属の誤り」が発生するかもしれません。ざっくり言うと、「自分がうまくいかないのは状況のせいだが、 相手がうまくいかないのは能力や意識が低いからだ 」などと、相手の状況の影響を軽視してしまう傾向です。

そして幸い(?)にも、「Keep Talking and Nobody Explodes」でこれらの状況を体験することができます。


Keep Talking and Nobody Explodes

Keep Talking and Nobody Explodesは、2人以上のプレイヤーが協力して爆弾を解除するゲームです。このゲームが特徴的なのは、 実際に爆弾を操作して解除する側 と、 爆弾解除マニュアルを読んで説明する側 とが明確に分かれ、 それぞれの画面やマニュアルを見てはいけない ということです。情報が非対称な状態で、お互いに口頭のみで爆弾解除を達成しなければなりません。以下の動画を見れば雰囲気を掴んでもらえると思います。

例えば、限られた時間(仮に10秒だとして)の中で、下の画像を口頭だけでどう伝えますか?

何に見えますか?

「アルファベットのNを逆にして…にょろがついてます。」

と伝えられたとしたら? 

「アルファベットのNは小文字?大文字?」
「Nを逆って左右?上下?」
「にょろってなんやねん。」

マニュアルにいくつかの正解パターンの絵がかかれていますが、以下のように似たような絵が複数あるので間違えてしまうかもしれません。

どれが「アルファベットのNを逆にしたにょろ」?

このように、爆弾が爆発するまでの限られた時間の中で、情報の非対称性をコミュニケーションによって解決していくのが「Keep Talking and Nobody Explodes」の難しさであり面白さです。 1回のゲームが5分以下で終わるので、スクラムやアジャイル系のワークショップのように、短期間で何度もふりかえりと改善の繰り返しができます 。

ゲーム画面

さまざまなプラットフォームで販売されていますが、会社で実施するのであればPC版がやりやすいでしょう。WindowsでもMacでも動き、必要なスペックも低いです。ノートパソコンが持ち運びや場所移動が楽なのでおすすめです。

有志により日本語マニュアルが作成されているので、日本語で問題なく遊ぶことができます。ゲーム本体は基本的に英語ですが、チュートリアルで少し読む程度なので、誰かが操作方法を把握していれば問題ありません。

※文字化けしている場合は文字コードをUTF-8に変更してください。


ワークの流れ

前回のドラッカー風エクササイズに続き、今回もシステム開発チーム(以下、Devチーム)で行いました。(後日、私のPMOチームでも行い流れを少し改善したので、それを記載しています。)

  1. 爆弾操作1人、マニュアルを読むオペレーター1人、観察者1人以上のチームを作ります。
  2. オペレーターの人たちにマニュアルの導入部分を読んでおいてもらいます。
  3. 爆弾操作側の人たちに操作方法を教えます。
  4. 実際に1ゲームを行います。
  5. ゲーム後、操作側とオペレーター側とでフィードバックを行います。
  6. 観察者側からのフィードバックを操作側とオペレーター側に行います。
  7. 4からの流れを2〜4回繰り返します。

ゲーム実施中の様子

このゲームを攻略するだけであれば、早期に操作側とオペレーター側を入れ替え、お互いの情報の非対称性をなくすのが近道です。実際の仕事やコミュニケーションでも、できるのであればお互いの情報を同期してしまうのが確実でしょう。

しかし今回はコミュニケーションを改善するワークなので、情報の非対称性を残すために あえて操作側とオペレーター側を入れ替えません 。観察者がゲームに参加する場合も、どちらかの側のみを最初はやってもらいます。

ある程度慣れてしまうと、お互いが何を望んでいるかがわかるようになってくるのでやり取りは洗練されていきます。しかし、ゲームへの慣れによって、自分の癖や改善の余地に気づかないようになっていく可能性があるので、特に最初の1回目や2回目のふりかえりやフィードバックを厚くするのがおすすめです。

まとめると、ワークとして機能させるために以下の2つのポイントに気をつけると良いです。

  • 爆弾操作側とオペレーター側は最初の方は入れ替えない。3回目以降で1度入れ替えて、また4回目に戻すと、相手の状況がわかっているのでかなり円滑に進められるようになります。
  • まだ慣れていない最初の1回目2回目のふりかえりとフィードバックを厚くする。ゲームの攻略に重きを置くのではなく、ワークを通して自分の癖に気づいたり改善したりするのが目的であることを明確にしておきましょう。

ワークの結果、気づき

実際にワークを行ったメンバーからの感想を紹介します。このような気づきをメンバーに得てほしいリーダーやマネージャーの方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

【ワークを通して気づいた自分の癖は?】

  • アレとかソレとか、代名詞を思っていた以上に多用していた。
  • 細かいことから順次質問しがちで、相手に全体像を説明していなかった。
  • 自分がわかっていることは相手もわかっているという前提で話しがちだった。

【情報の非対称性が存在している時に、コミュニケーションで気をつけたいことは?】

  • わからないことを個別で聞く前に、全体像やわかりたいゴールを共有したほうが良い。
  • 自分の持っている情報を全てぶつけるのは、時間の効率が悪いので、相手が何を欲しいか確認していく。
  • 最初は何がノイズかわからないので、お互いにノイズかそうでないかを確認していくことで、やり取りが洗練されていく。

【「Keep Talking and Nobody Explodes」が他のワークと比べて、特に有用だったことは?】

  • もとがゲームなので、ワークショップをやらされている感がなく、楽しみながらやることができた。
  • 1回が短いので、次はこうしようという改善を何度も試すことができた。
  • ステージをクリアできなかった(爆弾が爆発した)、クリアできたが明確なので、モチベーションになりやすい。
  • またやりたい!って気持ちになる。

まとめ

情報の非対称性が存在するコミュニケーションのワークとしては、「相手が言った説明通りの絵を描く」などが研修ではよくあると思います。「Keep Talking and Nobody Explodes」を使ったワークがより効果的なのは以下の3つだと思います。

  • もともとがゲームなのでゲーミフィケーション的な反復と学習や動機を得やすい。
  • 片方が聞くだけでなくお互いが発言し双方向のコミュニケーションが必要。
  • 1回のサイクルが短いので、ふりかえりと改善の繰り返しを実践できる。
  • 自分のコミュニケーションの癖に気づくことができますし、別の職種や事業部、またはリモートでやり取りを行うようなチームではより効果的です。

準備としては、会社のパソコンで行うのであれば、ゲームの購入とマニュアルの印刷だけでできるのでとても簡単に始めることができます。みなさんのチームでも試してみてはいかがでしょうか?