オウンドメディアにおけるKPIの重要性と設計のコツ

今や半数以上の企業がオウンドメディアの運営に取り組んでいます。一方で、多くの企業がオウンドメディアで成果を出し切れていないといった課題を感じています。このような環境下でオウンドメディアを運用し目的を達成させるためには、中間指標となるKPIの設定が欠かせません。本記事ではオウンドメディアにおけるKPIの重要性や、KPI設定のコツについてわかりやすく解説します。

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オウンドメディアとは

オウンドメディアとは企業やサービスなどが所有する、Webサイトやブログ、Webマガジンなどの各種メディアを指す言葉です。主に企業側が自社サービスや製品、How toといったお役立ち情報やイベント情報などに関する情報を発信する場となっています。このPINTO!もオウンドメディアに該当します。

本記事では特に記事メディアを想定して、オウンドメディアのKPI設定について解説します。

そもそもKPIとは

KPIとは「Key Performance Indicator」という言葉を略したマーケティング用語です。日本語では「重要業績評価指標」と訳され、最終目標(KGI)に対する達成度などを計るための中間指標として活用されます。

KPIは比較や達成度に対する分析がしやすいよう、PV数やコンバージョン率など具体的な数値を設定します。ゴール地点となる最終的な目的や目標を、KGI(Key Goal Indicator)として1つだけ設定し、その目標を達成するためにフェーズに応じた複数のKPIを設定するのが一般的です。

オウンドメディアにおいて、KPI設定が重要な理由

KPIはKGIの達成度や進捗状況を把握するうえで、欠かすことのできない重要な指標です。

オウンドメディアは成果が出始めるまでに長い期間を要するため、いきなりゴールとなるKGIを目指してしまうと、どこまで達成できているのかわからなくなってしまいます。またこのような状態では、次にどのような施策を行うべきか、どのような改善を行えばよいのかなど判断が難しくなってしまうでしょう。

業務の進捗状況の把握や達成度の確認、振り返りを行うためにも、KPIの設定は非常に重要です。しっかりとKPIを設定することにより、チームで業務を割り当てている場合にも、個別の目標設定や取り組むべき施策の検討が行いやすくもなるのです。

【フェーズごと】オウンドメディアのKPI

オウンドメディアのKPIは、オウンドメディアのフェーズにあわせて設定します。必ずしも一つでなければならないというわけではありませんので、その時期に必要な指標を複数設定する形でも問題はありません。それぞれフェースにあわせた、オウンドメディアのKPIを紹介します。

オウンドメディアの立ち上げ期

まずは、メディアの目的や戦略を設計しましょう。誰に向けて、どんな情報を発信し、どんなメディアになっていくのか、いつ頃どんな状態にしておきたいのかなどの情報を整理し、それらが実行できるように、予算や人員などをアサインする必要があります。

オウンドメディアの立ち上げ期間は、数値目標ではなく運用基盤を整えるための行動目標などをKPIとして設定します。

  • オウンドメディアの運用目標を明確にする
  • ペルソナを設定し、コンセプトを明確にする
  • 運用スケジュールを引く
  • 必要な業務を洗い出し人員確保など体制を整える
  • チーム内で目的やペルソナ、コンセプトを共有する

オウンドメディア運用の初期

初期は公開本数などの行動指標で成果を追うことを推奨します。記事本数も多くない時期だと、新規記事を公開しても順位がつくまでに時間がかかります。また、ドメインパワーもないことから順位がつきにくかったりするケースも考えられます。

コンテンツには、SEO記事等の集客記事や導入事例などの記事に分かれますが、オウンドメディア運用の初期(立ち上げ~1年程度)は、特に公開本数をKPIに置いてメディアとしてコンテンツを増やすことが大切です。

オウンドメディア運用中期

一定以上の本数記事が公開できてきたら順位やセッションなどの指標で成果を判断していきましょう。また、既存コンテンツの見直し、リライトなどもこの辺りから行っていくことがオススメです。その際には、SEOツールであるSEARCH WRITEの活用もおすすめです。

オウンドメディア運用の中期は、集客数を増やすことを意識したKPI設定がポイントです。新規コンテンツの積み上げは継続しつつ、より目的達成に近づくための具体的な指標を数値で設定することが重要です。

オウンドメディア運用後期

オウンドメディア運用後期は、立ち上げたメディアの安定化やアクセス流入数の増加、コンバージョン数などの成果指標を設定していくフェーズです。新規記事の追加に加え、既存記事のリライトやページの改修などもあわせて行い、PV数の増加やコンバージョン率の改善などを目指しましょう。ホワイトペーパーも作成することでコンバージョンを増やしていくことが大切です。

  • 月間のPV数やUU数
  • コンバージョン数やコンバージョン率
  • 目標ページへの到達数や到達率

オウンドメディアのKPI設定のコツ

なんとなくイメージはつかめているものの、実際に自社のオウンドメディアの運用となると、どのような考え方でKPI設定を行えばよいか悩んでしまうこともあります。そこでどのような考え方や基準でKPIを設定すればよいか、ポイントやコツについて解説します。

上位目的から分解して考える

KPIは最上位目的から順に、ブレイクダウンしながら設定していくのがコツです。PINTO!を例にあげて解説すると、以下のようなイメージとなります。

・SEARCH WRITEの受注を最上位目的とする

そこから分解し、以下のようなKPIを設定します。

・受注につながる有効商談数の設定
ハウスリードからの商談申込数

さらに商談数を得るために、以下のようなKPIを設定します。

・リード数(ホワイトペーパー、メールマガジンからのウェブセミナー参加、資料請求等
・セッション数やコンバージョン率
・特定のキーワードでの検索順位
・必要な記事数

これらのKPIを得るために、どれくらいの記事が必要なのかなど、段階的に落とし込んでいくのです。このように上位目的から分解して設計したKPIは、KPIツリーの形で可視化してまとめるとより明確でわかりやすくなります。

すぐに成果を求めた設計にしない

オウンドメディアは、スタートしてすぐに成果が得られるようなものではありません。目的達成のためには、準備や運用環境の整備、集客につながるコンテンツの公開とリライト、コンバージョン率改善を繰り返すことでようやく成果が目に見えてきます。

希望的観測でコンバージョン数などを最初に設定してしまうと、あまりにも達成難易度が高くなりすぎるため、KPIとして機能しません。まずはどの段階にあるのかフェーズを見極め、実行可能な範囲のKPIから設定することがポイントです。

SMARTの観点でチェックする

KPIなどの目標設定時は実行可能か自社の現状のメディアの運用体制・予算上において無理がないかなど、事前に確認することが大切です。むやみなKPIを設定しては、オウンドメディアを継続して運用できない結果にもつながります。

様々なチェック方法がありますが、KPIのチェック時は「SMART」のフレームワークを用いてチェックする方法がわかりやすいでしょう。「SMART」とは以下の5つの要素の頭文字をとったものです。

Specific(具体的に):具体的な言葉や数値で設定できているか
Measurable(測定可能):達成度合いが測定できるか
Achievable(達成可能な):現実的に達成可能な内容かどうか
Related(経営目標に関連した):最終的な目的(KGI)との関連はあるか
Time-bound(時間制約がある):達成までの期限は明確か(時間的に実行可能か)

これら5つの指標とKPIを照らし合わせ、無理や矛盾がないかチェックしておきましょう。

まとめ

オウンドメディアのKPI設定は、オウンドメディア運用において欠かせない非常に重要な項目です。また、最終的なゴールを達成できるようフェーズに合わせて適切に設定することが大切です。ぜひ本記事を参考に、自社のオウンドメディアの目的や、運用体制に合わせたKPI設定に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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