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バズは「8×3の法則」で起こす。フロンティアコンサルティング代表・上岡正明が 語る、共感を呼ぶPR戦略

Speakerスピーカー

上岡 正明

株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役

株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役。同時に、現役の放送作家として「ワールドビジネスサテライト」「笑っていいとも」など100本以上のTVヒット番組・ラジオの企画・構成・プロモーションPR、及び企画イベントのコンサルティングに携わる。企業PRとセールスプロモーション、WEBマーケティングなどライブ展開を絡めながら経営戦略視点で最適化・最大化させていくワンストップコンサルティングが得意。著書『共感PR 心をくすぐり世の中を動かす最強法則』(朝日新聞出版社)

目次
    1. メディアに取り上げられるには、「共感」が大事
    2. 今すぐ実践可能!世の中で話題になるための「8×3の法則」とは
    3. 「8×3の法則」を使って、実際にPR戦略を立てた例
    4. 「8×3の法則」が当てはまらないときは、どうすればいい?
    5. PR担当に求められるのは、時流を読む力
    6. 「8×3の法則」は、PRにも企画にもすぐに使える!

「限られた予算の中で、自社の商品を話題にしたい」

商品がコモディティ化していく中、「どのように商品の魅力を打ち出すか」というPRの重要性は年々高まっています。PR担当の皆さんは、自社の魅力を発信し、メディアに取り上げられるためにはどうしたらいいか、日々考えているのではないでしょうか。

そこで今回は、PR会社である株式会社フロンティアコンサルティングの代表取締役を務める、上岡正明さんにお話を伺いました。上岡さんは、メディアで取り上げられる確率を高める「8×3の法則」を考案し、『共感PR』という書籍を出版。

「8×3の法則」を活かしたPR戦略とは、果たしてどのようなものなのでしょうか。


メディアに取り上げられるには、「共感」が大事

――上岡さんの最近の著書に、『共感PR』というものがありますよね。この本を書いたきっかけを教えていただけますか。

上岡氏「メディアに取り上げられるための方法」を体系的に伝えるために書きました。PRはメディアに取り上げられることを1つの目的としていますが、そのためには、まず「誰かに話題にされる」必要があります。

私はこれまでPR業界に身を置く中で、「どうすれば話題にされるか」という問いについてずっと考えてきました。話題になったもの、ならなかったものを見比べて考えてみると、ものやサービスを見たり利用したりする人に、「共感」という感情を呼び起こせるかどうかがカギになっていることに気づいたんです。

「面白い!」「買ってみようかな」「友達に見せたい」。こうした気持ちになると、人々はSNSで投稿しますよね。PRにおいては、いかにそう思ってもらうかが重要なんです。

――SNSで投稿された内容は、拡散されることによってより多くの人の目にとまる可能性があるからですか。

上岡氏そうです。SNSの持つパワーは今更語るまでもないでしょう。一度投稿が拡散されると、瞬く間に全国的に広がり話題になります。

SNSで拡散した内容がテレビやインターネットの記事で特集されることがよくあることからも、影響力の強さが伺えると思います。

――人々の共感を呼ぶために、上岡さんはどのような戦略を立てているのですか。

上岡氏:私は、自身で考案した「8×3の法則」というフレームワークを意識しながら、PR戦略を立てるようにしています。


今すぐ実践可能!世の中で話題になるための「8×3の法則」とは

――「8×3の法則」ですか。一体どのようなものなのですか。

上岡氏:「8」は企業視点で見たときの性質(強み)、「3」は消費者視点で見たときのチェックポイントです。企業の強みを洗い出した後に、その強みが消費者視点で興味があるかをチェックすることによって、効果的なPRができるというものです。詳しく見ていきましょう。

【8つの性質(強み)】

1. 新規性
これまでになかったものやサービスであること
(例)日本で初めての自動運転車

2. 優位性
競合や既存のものやサービスと比較したときに、自社にしかない付加価値があること
(例)就活生にターゲットを絞ったシェアハウス

3. 意外性
見たり聞いたりした人が「へえ!」「本当に!?」などと驚くようなインパクトがあること
(例)0円で食べられる社員食堂

4. 人間性
ものやサービスを作るときに、携わった人の苦労や思いがあること
(例)10度の失敗を経てようやく商品化した指輪

5. 社会性
世の中の流行やトレンドとの関係性があること
(例)パンケーキ・かき氷ブーム、2020年東京五輪に向けたインバウンド需要の高まり

6. 貢献的意義
社会や世の中の問題解決になる要素があること
(例)アルコールを全く含まないノンアルコールビール

7. 季節性
季節・記念日との関係性があること
(例)七夕限定ゼリー、ポッキーの日、プリッツの日

8. 地域性
ものやサービスを「〇〇県限定」など、地域に限定していること
(例)47都道府県の一番搾り

――これが8つの性質ですか。例を見ると面白そうな内容が多いですが、こうして要素が抽出されると、「なぜ面白いのか」が分析できていいですね。

上岡氏:そうですね。PRをするときには、ものやサービスが上に挙げた性質のうちどれと親和性が高いかを考え、打ち出し方を考えるようにしています。打ち出す方向性が決まったら、続いては、3つのチェックポイントを見ていきます。

【3つのチェックポイント】

1. 社会
社会が求める情報かどうか

2. 人(ターゲット)
ターゲットとなる人に本当にアピールできるかどうか

3. メディア
メディアが取り上げたくなる情報かどうか

――チェックの段階を踏む理由はなぜですか。

上岡氏:強みを考える作業は、自社目線でやることなので、どうしても独りよがりな視点で考えてしまいがちです。自分の目線から一歩引いて、「客観的に見て本当に面白いか」を冷静に考えるために、この観点からチェックする習慣をつけています。

テレビもWebも、「今旬な情報か」という観点が企画を決める上で重要になるので、その要素を含んでいるものは、メディアや消費者の目線においても面白い内容だと言えると思います。

このフレームワークを使ってPR戦略を立てると、メディアから注目されて拡散される、いわゆる「バズ」が起こる確率がかなり上がるんです。


「8×3の法則」を使って、実際にPR戦略を立てた例

――「8×3の法則」に従ってPR戦略を立てた実例を教えていただいてもよろしいですか。

上岡氏:金剛院さんが境内で始めたカフェの例が分かりやすいので、紹介します。

まず、この事例を8つの性質に照らし合わせてみたときに、“お寺”が“カフェ”をしているという「3.意外性」の要素に目が行ったんです。

ただ、いわゆる「寺カフェ」は他のお寺でもやられている取り組みなので、メディアが取材したい要素としては少し弱いと考えました。

――確かに、お寺がカフェを始めた事例は他にも聞いたことがありますね。

上岡氏:そこで着目したのが、「5.社会性」です。当時インバウンドの需要が特に盛り上がっていて、テレビでは頻繁に外国人向けの観光スポットやお店などの特集が組まれていました。

その時流に乗るために、「外国人に紹介したい、東京の新パワースポット」という打ち出し方でプレスリリースを打つことにしたんです。

当時はまだオープンしたばかりなので外国人が訪れることはほとんどなかったのですが、この方向性でプレスリリースを打った途端にすぐにテレビで取り上げられるようになり、外国人観光客の方が訪れるようになりました。

――「意外性」は誰もが思い浮かべられると思いますが、「社会性」に着目する発想は、なかなか出てきません。

上岡氏:おそらく「意外性」だけに頼って「お坊さんと1杯〇〇円でお茶が飲めるカフェ」という打ち出し方をしていたら、他の寺カフェと差別化できずに注目されていなかったでしょう。

頭の中にこのようなフレームワークを持っておくと、PRするものやサービスをさまざまな角度から見られるようになるので、一見すると差別化が難しいものやサービスでも、これまでにない新たな切り口でPRすることができるんです。

すぐ実践できる内容なので、PRの仕方に悩んでいる方はぜひ使ってみてください。


「8×3の法則」が当てはまらないときは、どうすればいい?

――「8×3の法則」に当てはめて考えることが、効果的なPRをするのにとても役立つことが分かりました。ただ、8つの強みのうちいずれも当てはまらないときはないのですか。

上岡氏:確かに、ホワイトボードのような汎用性が高いものやサービスは、強みを見出しにくい傾向がありますね。そういうときには、8つの強みの中の「4.人間性」に着目するようにしています。

すべてのものやサービスには、開発に携わった「人」が存在します。商品が誕生した背景や苦労に特徴的な要素がある場合、それをストーリーとして伝えることによって、他の会社にはない打ち出し方ができるんです。

――なるほど。人間性に特徴を見出せれば、他の会社にはない価値が生れますもんね。

上岡氏:そうですね。なので私がお客様から依頼されてPRのお手伝いをするときには、ものやサービスを作ってらっしゃる人のヒヤリングを入念に行うようにしています。

――そこでも差別化ができなかった場合は、どうしたらいいのでしょうか。

上岡氏:そういうときには、新たに「強みを作る」ようにします。現在お仕事をさせていただいている会社さんの中で、明太子を作って販売している会社さんがあります。作ってらっしゃる方々の想いも強く、高品質な明太子を作っていらっしゃる素晴らしい会社さんなのですが、競合の会社さんもこだわりを持っていらっしゃるところが多く、なかなか差別化が難しい。

なので現在、話題性を呼ぶような企画を作ろうとしています。例えばですが、「ドライブスルーで明太子を販売してみる」とか。現実的に可能かどうかはさておき、「ドライブスルーで明太子を売る」というインパクトの強さは、「1.新規性」や「3.意外性」といった強みを与えてくれるでしょう。

このように、8つの強みから逆算して、企画を立てることもできるのがいいところですね。


PR担当に求められるのは、時流を読む力

――PRに携わる人は、今後どのような力をつけていけばいいでしょうか。

上岡氏:これまでの話にも出てきた内容になりますが、世の中が何に関心があるのかを常に知っておかなければならない職業だと思っているので、時流を読む力が大切になると思います。

――時流を読む力を鍛えるために、上岡さんが実践していることがありましたら、教えてください。

上岡氏:書籍のランキングは毎週チェックするようにしていますね。売れている書籍を見ると、世の中の人がどのようなものに関心があるのか分かるので。このサイト
http://www.bunkyodo.co.jp/c/bookchart/bookchart.htm)には、「総合」「新書」「コミック」など、ジャンル別にどのような書籍が売れているかが一目で分かるようになっています。私は週間ランキングの1位から300位くらいまでをチェックするようにしています。

――300位までですか。そこまで入念にチェックすることには、何か理由があるのでしょうか

上岡氏:上位10位くらいを見ても「ふーん、そうなんだ」で終わってしまうのですが、300位まで目を通すとそのときにどんなものが流行っているのか傾向が分かるんです。「ああ、最近は〇〇系の本が売れているな」みたいに。

そうすると、PRと絡めて、どのような施策を打ち出すのかを考えていくのに役立つと思いますよ。

――日ごろから、何が流行っているのかを見て考える癖をつけておくことが大事だということですね。

上岡氏:そうですね。あとは、消費者目線でどのようなものが面白いと思うか、アンテナを張ることです。最近SNSで、とうもろこしの上にソフトクリームを乗せた商品を見て「これは写真映えもするし、流行るだろうな」と思ったことがありました。

話題にしたくなるものを見つけたときに、ただ面白がるだけでなく、自分のアイデアのストックにする。そういう目線で世の中を見ることによって、自身のPRの可能性を広げていってほしいです。


「8×3の法則」は、PRにも企画にもすぐに使える!

上岡さんが考案した「8×3の法則」は、PR成功の「再現性」を上げてくれるもの。再現性を上げることによって、PRのノウハウを社内に蓄積することができます。

さらに、既にあるものやサービスの打ち出し方だけでなく、メディアに取り上げられる新しい商品やキャンペーンをするための「企画」でも、この法則は役に立ちます。

ぜひPRや企画に携わる方は、「8×3の法則」を活用して、自社の商品の魅力を最大限に活かしてみてはいかがでしょうか。

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