PINTO!株式会社PLAN-Bの情報発信メディア

2018.05.15

森山 佳亮

MARKETING

目次
    1. 代理店からよく聞くワードランキング8位の「自分ごと化」
    2. 自分ごと化とは?
    3. 自分ごと化の整理
    4. ブランドが目指すのは行動喚起率の高い「自分ごと領域」
    5. 自分ごと化の領域によって使い分けるコミュニケーション
    6. ひとつのクリエイティブで日常化と緊急性を高めた「宝くじCM」
    7. まとめ

どうも。新規事業担当のジミーです。

自分の職種柄、どのように自分のサービスを世に広め、価値を感じてもらうかということに脳を動かすことが多いのですが、一人で考えるよりも発信してPinto!を読んでいただている方々と、あーでもないこーでもないと言っている方が脳にいい刺激をもらえるので、コラム形式で色々自分の脳みそを晒して行こうと思います。

How toや勉強式ではないので悪しからず。

では早速、最近いい広告を見たのでご覧いただこうと思います。

サッカーくじtotoBIGの「謎のおじさん登場編」です。4/4に公開されたCMですが、何がいいなと思ったかというと「自分ごと化」と「間接想起」の組み合わせ方。

勝手にダラダラと解説していきます。


代理店からよく聞くワードランキング8位の「自分ごと化」

(※ランキングはただの私の所感です。気にしないでください。)

さて、ただの広告ではなく、良い広告になるひとつの要素として存在する「自分ごと化」。

どこの誰かも知らない人が考えたキャッチコピー、クリエィティブ、ストーリーに自分を重ねてしまうことで、毎日バカみたいに脳になだれ込んでくる何万もの情報の中において、脳の中でも特別なエリアである「私の情報BOX」に格納させることができるのが「自分ごと化」の素晴らしいところです。

よく代理店のセールスやプランナーなどが「自分ごと化が重要なんです!」と声高らかに言ったりしてますが、御察しの通り自分ごと化は簡単なことではありません。

見え透いた「こうなんでしょ?ねぇ。こう思ってるんでしょ?」という企業側からの押し付けに「うるせぇバーカ。そんなこと言われなくてもわかってるんだよ。」と思っている生活者はたくさんいるにもかかわらず、クソみたいなクリエィティブの垂れ流しがさまざまな媒体でまだまだ散見されます。

この記事では私が思う自分ごと化構造の一部をお伝えしようと思います。

完全に自分で勝手に作ってるだけなので、批判も提案もなんでも受け入れます。お好きにどうぞ。


自分ごと化とは?

前述の通り、自分ごと化とは世の中に溢れている情報の中で「これは私向きの情報」として脳内の「私の情報BOX」に格納されることです。

これにひとつ加えてお伝えしておくと「自分ごと化=行動」ではないということ。自分ごと化されたからといって即行動してくれる訳ではありません。

例えば偉い人から「社員は自分自身の成長、そして会社を成長させるために自身の能力を磨くことが求められる」と言われると、「まあそりゃそうだ。」とはなるものの、それを聞いて急いですぐに行動しない人もいます。むしろ即何かのアクションに移らない方が多いのではないでしょうか。

自分ごとであるけれどもすぐに行動する訳ではないのです。

「痩せなきゃなあ」と言ってる人がすぐ行動するとは限らないというのもそのひとつ。そこにはもちろん行動を妨げるさまざまな要因もありますが、自分ごと化のレベル感というものも大きく関係します。

では自分ごと化のレベル感というものを整理していきましょう。


自分ごと化の整理

「私の情報BOX」に入った情報は、またさらに分類をかけられます。今回はこの分類を「緊急度」「日常的か否か」で分けてみます。

本記事のテーマは「行動を喚起させる”自分ごと化”」をベースにお話しているので、行動喚起率を理解するための軸だと思ってください。

「日常的か否か」というものはブランドなどで考えると商品の購買回数、または日常での接触頻度が多いか少ないかとも言い換えることができます。

イメージは下記の通り

自分ごと化の整理

さて、ここに行動喚起率の目線を加えるともちろんこうなります。

自分ごと化と行動率

日常的で緊急度の高い「自分ごと」に対して人は、すぐに行動を起こします。

実は自分の息がすごくクサいと影で噂されているのを聞いてしっまったら、人はじっとしてられません。すぐに対処をするため行動します。逆に非日常で緊急度の低い「自分ごと」に対しては、すぐに行動に移したりしません。

前述の太っている人が「痩せなきゃなあ」と言いながら行動しないのは、日常的ではあるものの、痩せるという行為や結果に緊急性を感じていないからです。ただこれがお医者さんに「あなたこのままでは死にますよ。」と言われると人は急にせかせかと動き出します。緊急性の高い”自分ごと”にレベルが上がったのです。

ここで重要なのは、この行動喚起率は人間の「記憶の保有期間」とも関係することです。

非日常で緊急度の低い情報は記憶が長期間保有されないことが多いです。これは後にお話する自分ごと化のレベル感とプロモーションの関係の時に改めてお話します。


ブランドが目指すのは行動喚起率の高い「自分ごと領域」

企業にとってブランドの存在自体が下図の右上に位置することは究極の目標といえます。

よく信奉者の育成といいますが、これはそのブランド自体が自身の日常と重なり、そのブランドが発信する情報や商品の購買行動が自身の緊急度の高いトピックスとなることを指します。

apple信者やアイドルオタクなどを想定してもらえるとわかりやすいかもしれません。

この右上の自分ごと化領域にブランドが入り込めれば、もはや無敵です。お金や時間を惜しまず、人はそのブランドに寄り添い続けてくれます。

なのでブランドにとって、この位置を確保することが究極の目標となるのです。

理想は右上の「自分ごとフィルタ」に入ること

少し話が大きくなりましたね。ここから話を戻していきます。

ではブランドがとるべきプロモーションはどうすべきなのか、新規顧客の獲得に当たって、潜在的な顧客にどう行動させるのか。

その解説に入ります。


自分ごと化の領域によって使い分けるコミュニケーション

当然のお話ですが、日常的且つ緊急性の高い「自分ごと」が発生した人間には無駄なコミュニケーションは必要ありません。

直接的な訴求で短期集中。ドンドンアタックすべきなのです。コンプレックス商材にどぎついLPが多いのはこのためです。余計なことを考えさせず、競合に振り向かせず、行動するまでひたすらアプローチです。

逆に行動喚起率の低い人間に直接的な訴求は無意味です。その商品やブランド自体の直接的な情報提供ではなく、受け取り手にとって日常的であったり、緊急度の高い情報を提供し、間接的に商品やブランドとの接触回数を増やして行くのです。日常的で無く、緊急性の低い「自分ごと」は長く脳に保管されることはありません。

なのでこのアプローチは長期的な目線が必要となるのです。

行動率とプロモーションの関係

これが少し前に爆発的に流行した「量産コンテンツマーケティング」や「ドッキリ記事LP(閲覧している情報の関連商品広告が急に現れ「広告やったんかーい!」ってなる記事)」の狙いでしたね。驚くくらい生活者に嫌われましたが。

じゃあどうすればいいのよ!というのは脱線するのでまた今度にしましょう。

さて、話は戻りますが新たな顧客層の取り込みを狙う企業にとって、この行動喚起率の向上は避けて通れない難易度の高い道。これをひとつのCMでやってのけようとしているのが最初にご紹介した宝くじのCMです。


ひとつのクリエイティブで日常化と緊急性を高めた「宝くじCM」

改めて簡単に紹介すると、男性が飲み終えた缶コーヒーをゴミ箱に投げ込み、その隣にいた謎のおじさんが「今なんじゃないか?」と声をかけるCMです。

私が思うに、このCMのターゲットは「宝くじ」を買い続けているような人ではありません。

そうであれば、「こんな高額が当たるよ!」「販売期間はこの期間だよ!」「やっぱり金持ちになりたいよね!」と直接的な訴求で問題ないんです。

ですが、このCMは最後の2秒程度まで宝くじの訴求はひとつもありません。それどころか宝くじを直接想起させる「お金」の文脈も一切出てきません。

ではなぜこのCMが良いCMなのか。

これは宝くじに興味がない、もしくは日々宝くじを自分ごと化していない人を、一気に自分ごと化させることを目的としているCMだからです。

これまで「自分ごと化」は時間がかかるし難しい。と言ってきましたが、それを15秒のCMで実現させようとしているチャレンジ精神が良いのです。

さて、まずはゴミをゴミ箱に投げ入れるシーン。ゴミを投げるという行為に関しては日常的な人とそうでない人がいるかもしれませんが、これは「日常に起こり得るラッキーな出来事」を表現しています。

普通に生活しているとラッキーな出来事は日常的に起こり得ます。「あ、ラッキー!」と心で思う機会は少なくはありません。ここでまずは日常的な自分ごとを無意識でインプットさせます。

宝くじCMのケースその1

そこで、次の訴求「今、なんじゃないか?」というセリフ。これが緊急度を高めます。

ラッキーなことが起きると、人は「”今日”はツイてる」と思いがちです。ツイてる日は購買や行動に対し、心のハードルが下がるのです。「今日はチャレンジしても成功しそうだ」と考えてしまうのです。ここで重要なのは「ツイてる」という感覚は、寝て起きたら無かったことにされるという点です。

その一日間だけが心のハードルを下げる。つまり、もし宝くじを買うなら”今日”でなくてはいけないのです。なるべくラッキーな出来事があってから早く、この幸運が逃げる前に早く。これが宝くじを買うという行為の緊急度を上げている理由です。

宝くじCMのケースその2

直接宝くじの良さを大々的に訴求している訳でも無いのに、視聴者はラッキーなことが起きた時にこのCMを思い出してしまう仕掛けになっているのです。

日常の生活の中で起こる事象がトリガーとなり、急に宝くじを想起させるのです。(これを私は勝手に「間接想起」という言い方をしています。)そしてきっとこう思ってしまうでしょう。

(あれ…今なのか…?)

(もし宝くじを買うなら今なのでは無いだろうか…?)

…どうですか?

ちなみにこの記事は30分間だけの限定公開です。閲覧できた人はラッキーかもしれませんね。どうぞ宝くじ売り場へ。


まとめ

宝くじのCMは「ラッキーな出来事(日常)」「ツイてる日の特性(緊急度)」「間接想起」を上手く利用し、一気に自分ごと化を促進させる良いCMクリエィティブだったのでご紹介させていただきました。

もしこの記事を見られているプランナーやクリエィティブ職の方がいらっしゃれば、是非一度自分ごと化を思い返してみてください。

できていますか?自分ごと化。というか最近ラッキーだと思うこと減ったなあ。大人の階段を上がっているのだろうか。というかどこまであるんだろうかこの階段。

ではこの辺りで。今後も良いクリエティブなどを発見すればご紹介していきたいと思います。不定期ですが。

※あ、30分間だけの限定公開は嘘です。お仕事中に本当にごめんなさい。