自動化が進む広告運用において運用者が意識するべきこと

リスティング広告で成果が出ない方へ。 今こそ見直したい11のポイント
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目次
    1.  はじめに
    2. 近年の広告運用の自動化について
      1. 自動入札
      2. レスポンシブ系広告
      3. 自動運用ルール
      4. 最適化案
    3. 自動化が進む中で意識すべきポイント
    4. 機械学習が進みやすいよう、データの種類と量を増やす
      1. データの種類を増やす
      2. データの量を増やす
      3. 特に注意すべきポイント
        1. アカウント構成
        2. クリエイティブ(=広告文)の本数
    5. 運用上起こる変化の「なぜ」を問い続けること
      1. 機械学習は魔法ではない。変化には必ず理由がある
      2. 特に注意すべきポイント
        1. 自動入札
        2. レスポンシブ系広告
    6. 機械は万能ではない。商品やサービスを一番近くで理解し、機械学習の判断の正誤を見極める
      1. 特に注意すべきポイント
        1. 最適化案
    7. まとめ

 はじめに

2018年頃から特に、Web広告運用はどんどん自動化が進んでおります。これに伴い、人間が介入できる部分が少なくなってきている、と一般的には言われております。直近のアップデートも自動化に関するものは非常に多く、今後もこの自動化の傾向はしばらく続くと考えられます。

この記事では、広告運用の自動化が進む中で機械化できるようになったことは?自動化が進む中、運用者に求められる役割とは?という疑問に答えていきます。

近年の広告運用の自動化について

まずは本題に入る前に、近年どんな風に広告運用が自動化されているのか、ここ数年で開発された機能を改めて振り返ってみます。

自動入札

自動入札では、「コンバージョン数の最大化」「コンバージョン単価の最適化」など、キャンペーンごとに目的を設定し、その目的に応じて1回1回の入札機会に適した入札価格が自動で適用されるという機能です。

「1回1回の入札機会に適した入札価格」という部分がポイントで、それまでのどの入札機会においても人間が手動で設定した一律価格でオークションに参加していた手動入札とは異なり、過去の配信データをもとに1ユーザーごとにリアルタイムで適切な入札価格を算出、適用することができるため、手動入札よりも成果が上がりやすいと言われています。

レスポンシブ系広告

アセットと呼ばれる複数の広告文や画像のセットを作成し、そのなかから配信機会ごとに適切な文言や画像が自動で選ばれ、広告として配信される機能のことです。

例えば検索であれば、この機能が登場するまではテキスト広告でタイトル1~3、説明文1~2を手動で設定、それを複数本入稿して試してABテスト、といった方法が一般的でしたが、レスポンシブ検索広告の登場により、すべての文言をアセットに登録しておくと、アセット内で自動でABテストが行われ、良し悪しの判断までつけることができます。

ディスプレイ広告における「レスポンシブディスプレイ広告」も、レスポンシブ検索広告に「画像」という要素が追加される点が異なるのみで、中身としては同様の機能です。

これにより、人間が手動で広告文ごとの結果を集計し、良し悪しを判断、結果にあわせて新たな広告文を作成、といった手順を踏まずとも、(この検証自体はまだ必要かつ有効ですが)一度アセット内に文言や画像をセットしておけば、クリエイティブの改善が進むようになりました。

▼レスポンシブ検索のイメージ(クリックして拡大できます)

レスポンシブ広告のイメージ
画像引用元:Google検索広告 最適化のGORINからスケール化のMUGENへ

自動運用ルール

指標、集計期間、アクションなどを設定し、運用を自動化する機能です。

例えば、「CPAが過去7日間で10000円以上の検索語句は除外する」、「CPAが過去7日間で1000円未満の場合入札を20%強化する」など、運用上のルールをあらかじめ登録しておけば、その通りに自動で調整をしてくれるというものです。
この機能を活用すれば、人間が毎日行っている入札調整やKW、検索語句の調整を、ルールを守って自動的に行ってくれます。

最適化案

媒体側が過去の学習データをもとに、広告文案、キーワード案、などやるべき施策を提案してくれる機能です。

現在はGoogleと、Yahoo!のディスプレイ広告のみで展開されている機能となります。Googleでは、「最適化案を自動で適用する」という機能も一部リリースされており、配信~集計~分析~施策立案~施策実行まですべて自動でできる未来も遠くはないと言えるでしょう。

▼最適化案の例(Google)(クリックして拡大できます)

最適化案の例

代表的なものだけでも、これだけたくさんの部分で自動化が進んでいます。

このような自動化機能の増加を考慮すると、一見、人が手を加えるべきところはないのでは?と思ってしまいますが、まだまだ運用者の腕次第で成果に大きく変動が出ることも事実です。

それでは、自動化が進む中で人間は何をすべきなのか?順番に見ていきましょう

自動化が進む中で意識すべきポイント

自動化がすすむなかで、大切になってくるのは主に以下の3つのポイントです。

  • 機械学習が進みやすいよう、データのバリエーションと量を担保する
  • 運用上起こる変化の「なぜ」を問い続ける
  • 機械は万能ではない。商品やサービスを一番近くで理解し、機械学習の判断の正誤を見極める


それぞれ詳しく見ていきましょう。

機械学習が進みやすいよう、データの種類と量を増やす

データの種類を増やす

機械も人間と同じだと思ってください。「機会においしいデータを食べさせる」という意識が重要です。人間も、毎回の食事が菓子パン1つだったら、栄養価が偏り力を100%発揮できませんよね。一方、野菜、肉、穀物、フルーツ、ときちんと様々な栄養バランスを考えて食事をとれば、1日中きちんと活動することができ、頭もさえて仕事もはかどるはずです。

機械も同じです。例えば、「広告文は1種類だけ」「キーワードは1種類だけ」などの状態だと、アカウント内でキーワードや広告文の良し悪しを判断する材料が足りず、上手くパフォーマンスを発揮できません。キーワードや広告文を複数種類入れて、学習の材料となるデータのバリエーションを豊富に用意し、アカウント内で機械が自動的に分析、改善を進められる状態にすることが必要です。

データの量を増やす

先ほどの食べ物の話に戻りましょう。

例えば毎日の食事が朝におにぎり一つだけだったら、頭も働かない、パワーも出ないと思います。しかし、朝昼夜と毎食しっかり食べれば、脳や体に栄養が行き届き、高いパフォーマンスを発揮できますよね。

機械も同じです。たとえば、キーワードごとに広告グループを作る、などを行って、アカウントの中にデータ量の少ない広告グループが乱立してしまうことがあります。
これだと、広告グループの数は多いですが、1広告グループあたりのデータ量は、(すべてのキーワードを1つの広告グループにまとめた場合に比べて)少なくなってしまいます。

このようなアカウントの状態だと、改善を行うのにデータの量が不十分なため、機械もどこに改善のシグナルが出ているのかの判別ができず、なかなか改善が進みません。

一方、広告グループが1つにまとまっていれば、1つのグループにデータがまとまってたまります。
1か所にあつまるデータが増えると、改善につなげるための情報量が多くなり、機会も改善ポイントを見つけやすくなるのです。
データのイメージ

特に注意すべきポイント

アカウント構成

「データの蓄積」という観点で最も重要なのがアカウント構成です。基本的にはなるべく1つのキャンペーン、1つの広告グループにまとめるのが良いとされており、分けるとしても、例えば指名キャンペーン、一般キャンペーンの2種類程度の細分化に抑えることが一般的です。

「キーワードの種類ごとに広告グループを分けないと、検索クエリにそぐわない広告文が出てしまい、成果が悪くなるのでは?」という懸念をお持ちの方もいると思います。その場合、広告カスタマイザを用いて、キーワードと広告文を対応させるなどの工夫をすると、1グループにキーワードがまとまった状態であっても、検索キーワードに合わせた広告文を表示させることができます。
アカウント構成のイメージ

広告カスタマイザ(Google)
広告カスタマイザの詳細

アドカスタマイザー(Yahoo!)
アドカスタマイザーについて – ヘルプ – Yahoo!広告

あまりにも、キーワードごとにユーザーのニーズが異なる、広告文で見せる内容が異なるという場合は広告グループを分けることもあります。分けるかどうかは「広告文(=クリエイティブ)を分けるべきか否か」を基準に考えると判断がつきやすいです。

クリエイティブ(=広告文)の本数


クリエイティブの本数に関しても、例えば1つだけにすると比較対象がないので、改善が進みません。少なくとも3種類以上を並走させることがおすすめです。
ただし、多すぎても管理が難しくなったり、低予算だとデータが分散してしまい機械学習が上手く進まないこともあるため、管理ができる本数、学習の効率を下げない本数にしておきましょう。

運用上起こる変化の「なぜ」を問い続けること

機械学習は魔法ではない。変化には必ず理由がある

よく見られるのが「自動入札にしたら成果が良くなりました」といった報告に代表されるように、表面的な現象をとらえるにとどまり、なぜそうなったのか、の理由を考えることを放棄している光景です。

成果が良くなったこと自体は良いことですが、そこで思考を放棄してしまえば、さらなる改善のための施策は生まれず、現状維持はできてもそこからの改善はできません。
成果が良くなったとしても、悪くなったとしても、「なぜ良くなったのか」「どの広告文・KWがよかったのか」「なぜその広告文・KWがよかったのか」など要因を、仮説でも考えることが大切です。そうすれば、例えば「AというキーワードでCVRが高く、獲得に至りやすいためこのKWでの配信が増え、CPAが下がった」など「機械学習が動いた理由」の糸口を見つけることができます。

その理由をもとに「Aという文言を使った広告文を追加してみよう」「Aに類似したKWを追加してみよう」などと次の施策が生まれ、さらなる改善につながります。機械学習によって成果が良くなっても、悪くなっても理由を考えることはとても重要です。機械学習利用の例

特に注意すべきポイント

自動入札

自動入札は、過去の配信実績をもとに入札価格をすべて自動で調整する機能です。これを導入すると、配信目的に合わせて自動で改善を行ってくれます。

ただし、機械任せにして中身の確認を怠ると、CPAの高い広告文に配信が寄り続ける、特定のキーワードで費用のほとんどを使ってしまうなど、意図しない方向にアカウントが進んでいることがあります。

目安としては2週間~1カ月に1度の定点観測でアカウントをチェックし、機械学習が「なぜその動きをしたのか」を分析し、必要に応じて入札価格や入札戦略を変更する等のメンテナンスを行うことが必要です。

レスポンシブ系広告

冒頭にも自動化機能の一環としてご紹介しましたが、複数の文言や画像から自動で最適なものが選ばれて配信される機能です。

これもデータが溜まってくると、画像や文言に良し悪しの評価がつきます。「悪」と評価された画像や文言を放置し続けると、成果が悪いと判断されたものが配信され続けることになり、改善にはつながりません。
定期的に画像や文言の評価を確認し、良かったもの、悪かったものそれぞれ共通項を探すなどして「何が良かったのか(悪かったのか)」の仮説を立て、入れ替えを行っていくことで改善が進んでいきます。
※2021年6月時点では、文言単位で数値が確認できるのは表示回数のみとなっております。

▼アセットの評価

機械は万能ではない。商品やサービスを一番近くで理解し、機械学習の判断の正誤を見極める

機械学習は今後さらなる発展を遂げるでしょう。

しかし、どこまでいっても機械は機械で、プログラミングされたとおりにしか動きません。

事業者の脳内にある考えを理解しているわけではないので、事業者側の意向を100%理解して運用が行われるということはありません。機械学習は基本的に、アカウント内の成果をより良くするために動きます。しかし時には意図にそぐわない判断や施策を実施するので、場合によっては人間の手で機械を止めなければいけないこともあります。

機械学習を全面的に信じるのではなく、時には疑いの目を持ち、機械の出す判断は正しいのかどうか、きちんと自分の目で判断するようにしましょう

特に注意すべきポイント

最適化案

機械がアカウントの過去実績から、さらなる改善につなげるための施策を提案してくれる機能です。

キーワードの追加、広告文の追加、入札戦略の変更など、ありとあらゆる提案をしてくれます。ただ、時には「〇〇 怪しい」「〇〇 詐欺」など、サービスに対するネガティブなキーワードが追加案として提案されたり、日本語として理解しづらい文章の広告文案が提案されたりします。

あくまでユーザー視点、事業者視点にたち、「本当に実施すべきかどうか」は人間の目で見極めましょう。

まとめ

自動化機能はますます発展してきており、運用の中の「作業」に関してはたしかに人がいなくてもできることは増えてきています。

しかし、「機械学習が進みやすいデータの土台作り」「アカウント変化の要因分析とその考察に基づく施策立案」などにはまだまだ人の介入が必要不可欠であり、この部分のクオリティは管理画面上の成果はもちろん、広告の事業に対する貢献度にも大きく影響します。

広告代理店のみなさんも、事業会社で自社運用をされているみなさんも、自動化が進んだからといって機械任せにするのではなく、あくまでも広告を事業にプラスの影響を与えられるようにコントロールするのは人間の仕事だということを忘れずに、さらなる改善を目指して取り組んでいきましょう。