2021.09.22

高橋 幸大

デイリースクラムを録画してふりかえると現実がわかる

WRITER

高橋 幸大

株式会社PLAN-B システム開発本部システム開発部

自社SEO支援SaaS「SEARCH WRITE」を開発・運用しています。 開発とスクラムマスターの経験を経て、現在開発チームをリードしています。 主にバックエンドの開発を担当していますが、フロントエンドや運用にも携わっています。 ユーザーに価値を届けることに重きを置き、事業や企画にも首を突っ込んでいます。 仮説検証型アジャイルを進め、ユーザーとプロダクトが持続的に成長していけるよう日々奮闘中。

目次
    1. 録画からわかった現実
    2. 課題は自分自身の振る舞いだった
    3. 3つのアクション
      1. デイリースクラムをなぜやるかを改めて説明
      2. ファシリテーターを交代制にする
      3. ファシリテーターは画面操作をしない
    4. まとめ

開発チームのリーダーとして『価値を考えるプロダクト開発チーム』になるため日々色々なことにチャレンジしています。

その中のひとつで「デイリースクラムを録画して確認」してみた結果、目指したいチーム像に近づくために自分がしていたことが裏目に出ていたとわかりました。リーダーだから先頭に立って引っ張らないと…と、いつも気を張り詰めていましたが、今回の経験で引っ張っていくことだけでなく、チームメンバーと共に歩むことが大切だと気づかされました。

録画からわかった現実

私達のチームはスクラムで開発をすすめています。緊急事態宣言などの影響もありフルリモートで開発をしているため、チームメンバーとボイスチャットを繋ぎデイリースクラムをしています。私がファシリテーターとして進行をしていますが、自分自身うまくいっているのか自信がありませんでした。こんな不安がいつもありました。

  • スプリントゴールの達成をメンバー全員で意識できていないのではないか
    • チームメンバー個々人の意識の持ち方のせいにしてしまっていないか
  • リモートワークなど環境の問題なのか、ファシリテーションの問題なのか

ふりかえりで言語化できるほどではなく、なにが悪いかもわからない状態でした。

そんな不安を社内のスクラムマスターギルドで相談したところ、実際にデイリースクラムを録画して客観的に見直すアクションを決めました。何が課題なのかを思いつきや感情ではなく、事実から見つけられると思ったからです。

いざ録画して確認してみると、すぐにこれらのことに気がつきました。

  • ファシリテーター(私)がずっと話をしている
  • 状況を一番把握している私が、進行と画面操作を同時に行うことで、他メンバーを置いて進んでいることがある
  • ファシリテーター 対 他メンバーの構図になっている
  • 一部の人だけしかわからないような、深入りしたハイコンテキストな会話を行い、他のメンバーがついて来られなくなっている

課題は自分自身の振る舞いだった

録画を通して自分自身のファシリテーターの振る舞いを客観的に見ることで、課題に気づくことができました。

全体の状況を把握している私がファシリテーターで進行をしているため、「私がメンバーに新しい情報を聞く」形になっていました。私と各メンバーだけで話が解決してしまう状況や、私がハイコンテキストな話題を気にせず進めてしまうことがありました。自分では状況を把握している状態なので、この課題に気づけていませんでした。

1対1になりがち

この課題に気づいてからはチームメンバーにスプリントゴールを意識してほしいとは言えなくなりました。リーダーとしてチームを引っ張っていくためにやっていたことがこんなにも裏目に出てしまっていたとは思いもしなかったです。

この状況を打開しない限り、理想のチームには近づけないと思い、デイリースクラムの構造を変えるために次のアクションを行いました。

  • デイリースクラムをなぜやるかを改めて説明
  • ファシリテーターを交代制にする
  • ファシリテーターは画面操作をしない (進行と同時に画面を操作しない)

3つのアクション

デイリースクラムをなぜやるかを改めて説明

私がこのチームにジョインした2年前は、スクラム開発が初めてでスクラムガイドなどを読んで学んできました。今デイリースクラムの理解が一定あるのはその学びがあるからですが、他のメンバーに伝えきれてはいませんでした。

他メンバーがジョインした時は説明していましたが、一度説明したからわかるわけでもなく、経験と合わせて腹落ちするまでの説明ができていなかったことに気づきました。 改めてメンバーに説明をする時間を確保、説明を行い、チームで運用しているWikiにもチームのデイリースクラムの目的や運用を明記しました。

結果、スプリントゴールを達成するために問題が小さい内に発見・対策をする動きが少しずつ現れてきました。

ファシリテーターを交代制にする

全体を把握している人がファシリテーターとして進行をしている場合、私のチームではデイリースクラムが進捗報告をする場になってしまいがちだとわかりました。またファシリテーターが状況を把握次第、次に進めてしまい、メンバーをほったらかしにしてしまっていることも動画を見て感じました。

この原因はファシリテーター対メンバーの1対1の会話で完結してしまい、ただの進捗報告の場に自然となってしまったことです。オフラインのデイリースクラムでは立ち位置などを工夫していましたが、ボイスチャット・ビデオチャットでは自然と1対1のようなやり取りになってしまっていました。やり方を変えない限り、メンバーがスプリントゴールに向き合う機会を奪い続けてしまうため、ファシリテーターを日毎に抽選して決める交代制に変えました。

ファシリテーター交代制

結果、交代制にすることで全員がデイリースクラムとスプリントゴール全体を把握しにいく意識ができてきました。この制度を入れた当初は進行がおぼつかないところが多かったですが、良い意味で素人感が出ることで自然とメンバー間で会話が始まりやすくなりました。

ファシリテーターは画面操作をしない

ファシリテーターを交代制にするのと合わせて、ファシリテーターが進行と画面操作を同時にできなくすることで、ファシリテーターだけで進行を完結しないようにしました。

進行や会話は交代制のファシリテーターとメンバーでしてもらうようにして、画面操作は私がするようにしました。会話をむやみにリードしてしまわないよう、自分が関わるタスクや課題以外では極力話をしないようにしてみました。いきなり話をしないとなるとチームメンバーから不信感を持たれる可能性もあるため、事前に意図をチームに伝え、理解を得てからにしました。

みんなファシリテーター

結果、ファシリテーターがメンバーを置いていかず、メンバー同士で理解をあわせながら進むようになり、チーム全体でスプリントゴールを少しずつ意識できるようになりました。

ペア(モブ)プログラミングにおけるナビゲーターとドライバーのような関係にすることで、発話を増やしハイコンテキスト=暗黙の了解を減らすことができました。

まとめ

主観で見ていると改善点が見つけにくいことも、録画してふりかえってみると客観的に見ることができ、ふりかえりの幅が広がりました。デイリースクラムで今まで見つけられなかった課題を見つけることができたので、今はリファインメントや他のイベントでも録画を試しています。特にリモートワークで画面共有をしているチームでは簡単に実践できるので、ぜひ明日のデイリースクラムで録画ボタンをおしてみてください。