2021.05.16

五十嵐 和希

MARKETING

「LTV売上」から適切な「許容CPA」を算出する計算方法

WRITER

五十嵐 和希

株式会社PLAN-B システム開発本部 PDMチーム

大手広告主企業での広告宣伝部、総合広告代理店でのプロモーション部を経験し、PLAN-Bへ入社。企業のオウンドメディア「PINTO!」の立ち上げを行い数多くの記事を作成しメディアとして成長させた。その経験からコンテンツSEOのインハウス化を支援するツールの「SEARCHWRITE」をローンチし、プロダクトオーナーを務める。

目次
    1. そもそもCPAとは?
    2. LTVの考え方と計算方法
    3. LTVを加味せずにCPAの上限を設定すると頭打ちに!
    4. LTVを引き上げるための方法とは?
    5. まとめ

Webマーケティングで効果や成否をジャッジするためには、一般的にROAS※1・ROI※2・CPAなど複数の指標が用いられます。正しく理解し、活用することが重要な各指標の中で、今回は意外と正しく利用できていないことの多い、CPAの考え方について説明していきます。

※1 ROAS(Return On Advertising Spend)

投資した広告費に対して、どれだけの売上が発生したかを測る指標

※2 ROI(Return on Investment)

投資した広告費に対して、どれだけの利益を得ることが出来たのかを測る指標


そもそもCPAとは?

CPAは、Cost Per AcquisitionまたはActionの頭文字をとった略語です。広告の効果を測定するひとつの指標で、1人の顧客獲得または注文や資料請求などの1件の成果に対して、広告費用がいくらかかったかを表す数値のことです。

例えば、100万円でWebの純広告を出稿し、50件の注文を獲得したと仮定します。この場合のCPAは、下記の計算式から20,000円となります。

CPA計算式:100万(出稿金額)/ 50件(注文件数)=20,000円(CPA)

CPAは、低ければ低いほど広告の獲得効率が高かったといえます。しかしCPAは、広告を出稿する企業のサービス単価や扱う商品の価格によって、適正金額は数百円〜数万円までさまざまです。そこで、適正なCPAをLTVを加味し、算出する方法について詳しく見ていきます。


LTVの考え方と計算方法

LTVとは?

LTV(Life Time Value)は、日本語では「顧客生涯価値」と訳され、一人の顧客が一定期間を通して企業にもたらす利益(価値)を合計したものを指します。つまり、広告によって獲得したユーザーが、広告起点での購入だけでなく、リピートすることまでを踏まえてどれくらいの利益を企業にもたらしたかを考えるのがLTVの考え方です。

LTVを計算するためには、ユーザーの平均購買頻度や平均継続期間などを正確に把握することが重要になります。もし、平均購買頻度などが正確に計測出来ない場合は、社内のシステム担当やシステム会社、顧客管理ツールを提供している企業に相談してみても良いかもしれません。

基本的なLTVの計算式は下記です。

獲得コストを無視した売上ベースでのLTVの場合

LTV = (平均顧客単価)×(平均購買頻度)×(平均継続期間)

獲得コストを加味した利益ベースでのLTVの場合

LTV = (平均顧客単価)×(平均購買頻度)×(平均継続期間)/(新規獲得コスト)

定期購入での単品通販を例に利益ベースでのLTV計算方法を見てみます。

(例)定期購入での単品通販サイトの場合

  • 平均顧客単価:5,000円
  • 平均購買頻度:月1回
  • 平均継続期間:6ヶ月
  • 新規獲得コスト(CPA):20,000円

5,000円 × 1回 × 6ヶ月 = 平均LTV売上 30,000円
平均LTV売上 30,000円 – 新規獲得コスト 20,000円 =10,000円

この場合、平均的な1ユーザーあたりのLTV(売上ベース)は30,000円となり、新規獲得コストを差し引いてもプラスとなるため、新規獲得コスト(CPA)はあっていると考えて問題ないでしょう。しかし本来であれば、このコスト部分にプラスで顧客維持コスト(メルマガやDM、管理コストなど)が入ってきますので注意が必要です。

諸々のコストを差し引いたうえで、黒字であれば基本的には広告に予算をつぎ込んでも問題ないと言えます。まずは「1ユーザーあたり、平均獲得(維持)コストはどの程度なのか」「1ユーザーあたり、平均LTV売上はどの程度なのか」を把握することが重要です。


LTVを加味せずにCPAの上限を設定すると頭打ちに!

利益ベースでLTVを加味したうえでCPAを設定することができれば、そのCPA内での運用であれば安心して実施することができます。広告主にとっても広告運用代理店にとっても健全な状態といえるでしょう。

しかし逆に、LTVを加味せずにCPAの上限金額を決定すると、出稿できる広告の選択肢が大幅に狭まります。選択肢が狭まることで、CPAに見合う広告を選ぶことができなくなり、新規ユーザーの獲得が頭打ちになってしまいます

特に、顕在層向けのリスティング広告などは競合他社の出稿も増え続けており競争が激化しています。それに伴いクリック単価が高騰している状況のため、すぐにCPA上限に達してしまい獲得数を伸ばすことができなくなってくるでしょう。


LTVを引き上げるための方法とは?

LTVを引き上げる方法 5パターン

商材/サービスによっては、あまりにも競合が強すぎるなどの場合、LTVを加味したCPAを設定してもその設定された許容CPAを守れないケースも存在します。その場合は広告出稿を一度止めて、LTVの数字を引き上げる努力をすることを優先させたほうが良いかもしれません。

LTVを引き上げる方法は大きく5つ、

  1. 平均顧客単価を引き上げる
  2. 平均購入頻度を引き上げる
  3. 平均継続期間を伸ばす
  4. 顧客維持コストを下げる
  5. 顧客ロイヤルティを上げる(ブランディング施策)

といった方法があります。しかし、何のサービス改善もなくやみくもに顧客単価や継続(契約)期間を引き伸ばすのは得策とは言えません。まず見直すべきなのは無駄な顧客維持コストがかかっていないかです。

例えば、慣例としてずっと続けていたDMやチラシなどの施策効果を見直してみることや、使っていないツールを見直してみる、などが当てはまります。(弊社も過去に利用していた素材サイトの月額プレミアム会員契約をいまさら発見した!なんてことが昔ありました…)

次点で、既存ユーザーとの関わりを強化することです。CRM(Customer Relationship Management)ツールなどを駆使し、顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上に取り組むことで、平均継続期間を伸ばすことや、平均購入頻度を増やすことにつながるでしょう。


まとめ

LTVを計算し把握することは、広告のCPAが明確にできる以外に、もう一つの大きなメリットがあります。それが年間予算などを作成する際の予測精度の向上です。年間で売上を計算していく際に、LTVを把握していれば○月までに何名の新規ユーザーを獲得していないと後半で予算がショートする、などという予測が可能になります。

現在は、複数のテクノロジーによって、今まで容易には計測できなかったLTV部分を可視化できるケースが増えています。もしも、LTVを加味せずに許容CPAを決定しまっている場合、広告による新規ユーザー獲得はすぐに頭打ちとなってしまうでしょう。

また、許容CPAの算出ロジックを明確に提示していない場合、パートナーの広告運用代理店やマーケティング支援企業も100%腹落ちして運用にコミットすることができません。この機会に一度見直しを行ってみてはいかがでしょうか。