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2018.09.10

勝見 隼人

MARKETING

目次
    1.  広告代理店って今後どうなるの?
    2. コンサルティングファームの買収戦略、広告主のインハウス化拡大戦略
    3. 大手コンサルティングファームに事実上買収された代理店社員はどう感じているのか?
    4. あらゆるものがプロダクトアウトではなくマーケットイン
    5. まとめ

まず、映画「未来のミライ」について…

非常に楽しんで拝見しました。何と言っても映画の主人公でもある「くんちゃん」がとても可愛く、映画を見終わった後は「くんちゃんロス」になったと言っても過言ではありません。

特に「くんちゃん」の「未来のミライちゃん、好きくない!」というセリフがお気に入りです。おそらく僕は息子が生まれたら「くんちゃん」という名前にするでしょう。

こんな感じで細田守さんの次回作品も非常に楽しみにしています。

…本題に入ります。


 広告代理店って今後どうなるの?

昨年末、米投資ファンドのベインキャピタルがアサツーディ・ケイを買収したニュースは記憶に新しい方もいるかと思います。

広告代理店(=私たち)ってこの先どうなるのだろう?ここ数年におけるコンサルティング業界の代理店買収やアクセンチュア、デロイト、BCGなどがインタラクティブ事業部を開設し、採用強化に関するメディア露出が目立つようになって以来、そんなことを考える時間が非常に増えました。

デジタルエージェンシー → 総合広告代理店 → デジタルエージェンシーと気がつけばずっと代理店としてオンライン・オフラインに携わってきた私ですが、正直この先どうなるかなど分からない、むしろ別に考える必要などないのでは?という感じですが、やはり気になります。

なぜなら広告代理業という業種やそれに関わる職種、そして日々実務として携わっている仕事はやっぱり楽しく、この先広告代理店という名称が消える、あるいは大きく形を変えるということは少なからずも寂しさを感じるからです。

ただ、最近少しずつですが未来の広告代理店がどのように変わっていくのか分かる気がしています。いま広告代理店で働いている私たちはいずれ大きく二極化するだろうと予測しています。


コンサルティングファームの買収戦略、広告主のインハウス化拡大戦略

ここ直近2~3年でのコンサルティング業界における買収は非常に盛んとなっています。一部の記事でアサツーディ・ケイはベインキャピタルに上手くハメられ買収されたなんて記事もありますが(事実かどうかはさておき)、正直今後も似たような事象は発生すると思います。

なぜなら買収のプロフェッショナルである経営コンサルティングファームが必要と判断すれば簡単に広告代理店を買収できるスキル、そして資金力を兼ね備えているからです。以下に載せているのはここ直近におけるコンサルティング会社の買収事情です。IBMのエージェンシー買収は非常に目立っています。

コンサルティング会社買収企業事業内容
マッキンゼー・アンド・カンパニーQuantumBlackデータ技術コンサルティング会社
LUNARデザイン会社
ヴィジュアルDoD航空宇宙および軍事分析
lixto価格戦略、価格分析のアドバイス事業
4tree小売分析企業
プライスウォーターハウスクーパース(Pwc)マーパルパートナーズM&Aコンサルティングサービス
BGTデジタル広告代理店
Booz&company戦略コンサルティング
デロイトヒート(Heat) 独立系クリエイティブエージェンシー
BCGブライトハウスPURPOSEコンサルティング 
EYパルテノン戦略コンサルティング 
KPMGマッチ フィンテックサービス紹介 
IBMecx.io デジタル広告代理店 
Aperto デジタル広告代理店 
Resource/Ammirati デジタルマーケティングエージェンシー

参照:20代〜30代のキャリアを考えるブログ

時代のニーズに応えていくためにも今後これらの買収劇はさらに加速すると感じています。そしてこの流れによっていずれ私たち仲間の一部はコンサルティングファーム内のデジタル部門で活躍することになりそうです。

二極化のもう一つですが、最近メーカーを筆頭に広告主側で起こっているインハウス化が影響してくるはずです。ここ数年で広告事業部の新設や拡大を行う広告主は増えておりデジタルシフトの必要性と共に代理店への外注広告予算は縮小しています。

同時に広告運用者などを自社に取り込むための採用予算は引き上げられており、自社におけるデジタルマーケティング力が強化されていることが伺えます。

これらを踏まえ、コンサルティングファーム内のデジタル部門に所属しない広告マンは余程の付加価値を生み出し続けることができない限り、メーカーなどの広告運用者、マーケター、ストラテジックプランナーとして帰属していくだろうことが予測されます。


大手コンサルティングファームに事実上買収された代理店社員はどう感じているのか?

2年程前まで同僚として総合広告代理店で勤務し、別代理店に転職直後コンサルティングファームに買収され、今月より名刺も全てコンサルティングファーム会社のものに変わると話されていた前職の先輩に色々と伺ってみました。

――普段携わっている業務内容から教えて頂けますか?

普段はSNSのコンサルティング部隊に所属しています。メーカーなどのタイムライン投稿監視や顧客満足度も複合的に織り交ぜた広告コンサルがメインとなります。NPSなどと絡めて総合的に良し悪しを判断するので、CTRやCVRだけが指標ではなく、ここに転職してから成果に対する向き合い方が変わりましたね。

――そもそもコンサルティングと代理店の明確な違いって何ですか?

あくまでも前職の総合広告代理店と現在のコンサルティングファームとの違いですが、広告代理店は売上意識が非常に強く代理店マージンで如何に利益をあげるかということに非常に重きをおいていますが、コンサルティングファームは名前の通り、広告出稿がゴールではなく課題解決が中心となっていますね。場合によっては広告を出稿しないという判断もあり得ます。

――コンサルティングファームの一般社員が追っているKPIって?

私が普段中心的に行っているのはSNSを活用したコンサルティングに近い業務になるので、基本的にはお客様満足度に関わるNPSやエンゲージメントになります。アクセス解析チームと連携し、クライアントが展開するサービスにおいて友人への推奨度なんかも計測しています、加えて顧客のインサイトを確認した上でどのように既存事業を見直すかといったことも総合的に行っています。

――普段の働き方ってどうなっていますか?

うちの場合はリモートワークOK、フリーアドレス、メンバーによってはWeWorkなどを活用して仕事をしているスタッフもいますね。あと個人の評価面談は半期に一度ありますが、私の場合は売上や利益ではなくそれこそNPSスコアなどが評価基準になっています。業務の100%がクライアントのためではなく自己成長の時間に充てることができる点も広告代理店とは少し違うかも知れません。

――コンサルティングという環境に移った今、広告代理店はどう見える?

少し古いと感じる時があります。やり方が古いというよりは、今のやり方では早い段階で限界を迎えると感じます。当たり前ですが他の代理店がやっているからやる、というスタンスでは周回遅れになります。

毎年6月頃のカンヌライオンズ受賞作などを通じてP&Gなどを見ていると商品を訴求するというよりもジェンダー、黒人差別をなくすための運動などアドはジャーナリズム化しているなと感じます。ある種、企業は社会的なメッセージを訴求していかなければ今後生き残ることは難しいとも感じます。

――広告代理店に足りないものって何ですか?また今後コンサルティングとの関係性は?

やはり売上重視だけでは厳しいです。前年同期比などの指標が悪いとは思いませんが、評価対象となる指標を増やさなければという感じです。離職率が激しいのであれば社員の雇用継続年数とか。天地がひっくり返るほどの数値目標はやはり誰でも疲弊します。

関係性についてですが、デザイナーを抱えていてワンストップソリューションを提供できる代理店はやはり強いです。同時に業務領域も幅広いのでゼネラリストの代理店とスペシャリストが集まるコンサルティング、どちらが買ったり負けたりというのはないですね。

――コンサルティングファーム同士での競合は存在しますか?

デロイトやBCGなどデジタル強化している会社は増えてきていますがそこは特にないです。コンペなどはありますがリプレイスなどという概念は存在しません。

――代理店が買収されている状況についてどう感じていますか?

最近は代理店に限らずあちこちで買収されているニュースは飛び交っていますよね。買収は良い悪いではなく、市場の原理です。アサツーディ・ケイが買収を判断したのも負けたのではなく新しく生まれ変わろうとした大きな判断。

代理店がコンサルティングファームと組むことが吉と出るか凶と出るかなど分かりません。これらは潰れるのではなく価値が変わるという表現が適切だと思います。そういう意味でますます今後のビジネスは面白くなっていくはずです。


あらゆるものがプロダクトアウトではなくマーケットイン

さまざまなメディアで代理店とコンサルティングファームは協業、あるいは競合いずれの未来を辿るのか?といったことも騒がれていますが、結局は顧客が何を求めるのか?それに対して僕たちは何ができるのか?と考えることが大切であり、それらが未来のミライを創り上げることにいずれ繋がるということです。

極論、顧客に「!」と「♡」を与えることができるのであればそれはそれで本望ということです。


まとめ

元リクルートで数々の新規事業を経験し、現在はアルファドライブで代表取締役をしている麻生さんのお話の中で新規事業開発においてピボット(仮説→顧客確認→仮説の繰り返し)は300回転するというお話がありました。

これらの行為が既存事業のトランスフォーメーションに影響をもたらすということは勿論ですが、それ以上に顧客の声に耳を傾ける姿勢こそが強固なサービス、ツールを創り上げるということを改めて学びました。

同じく僕たちの業界も同様だと感じます。顧客の声に真摯に向き合うことこそが強固で明るい未来を創る上で大きな要素になるはずです。