企業のマーケティングを支援する「ピント!」

4つの事例から推察する「AI活用でマーケッターの仕事はどう変わる?」

Writerライター

五十嵐 和希

株式会社PLAN-B ビジネス開発部 責任者

2013年中途採用でPLAN-Bに入社。東日本エリアの営業マネージャーを経て、2017年にビジネス開発部を立ち上げ、自社メディア運用と各種アライアンス構築活動などを中心とした事業開発を行う。

目次
    1. 最近話題のAIとは?
    2. AIのマーケティング活用事例
      1. 01. レコメンドでの活用事例(三越伊勢丹)
      2. 02. Web広告でのAI活用事例(CANDY)
      3. 03. 顧客対応でのAI活用事例(アスクル)
      4. 04. 顧客分析でのAI活用事例(IDOM)
    3. AIの活用でマーケッターの仕事はどう変わるのか?
    4. まとめ

最近あらゆる分野において人工知能、すなわちAI(Artificial Intelligence)が注目されています。囲碁AIがプロ棋士と対局をして勝利したり、AI搭載車が開発されたりと、話題に事欠きません。特にマーケティング分野では、すでに活用が進んでいるケースも多数見られ、マーケッターとしては「AIとどのように付き合うべきか?」という課題に向きあわざるを得ないでしょう。

とはいえ、AIは年々進歩しており、「実はよくわかっていない」という方も多いのでは?そこで本コラムでは、AIって何なの?AIでマーケッターの仕事ってどう変わるの?など、みなさんが感じているであろう疑問を解説していきます。


最近話題のAIとは?

近年“ブーム”といっても過言でないほどメディアで取りざたされているAI。しかし、このAIという言葉が登場したのは1953年であることからも、決して概念自体が新しいものではなく、古くから取り組まれている技術だということがわかるでしょう。

実際、最近AIとセットで語られがちな「ディープラーニング」が登場する以前より「ルールベース」や「機械学習」などが使われてきました。メディアを通じて一般の生活者にもわかりやすくAIの能力が周知されたことや、技術の進歩によって従来の方式とは大きく異なる「ディープラーニング」が登場したことで今、再び注目を集めていると言えます。

ルールや学習の仕方をヒトが教えなければならなかった「ルールベース」や「機械学習」に対して、学習の仕方そのものもAIに考えさせるのが「ディープラーニング」です。データさえあれば、あとはAIが自動でアルゴリズムを生成し、学習しながら成長していくため、AIの適用範囲を広げてくれるものとして期待されています。

AIはマーケティング分野においても広く活用されており、技術の進歩とともに「データ解析」「顧客行動の分析」「個別対応」といった部分で活用が進んできました。ここ最近では、「ディープラーニング」が搭載されたツールも一部現れてきており、先行事例も登場しています。


AIのマーケティング活用事例

4つの事例から、マーケティングでのAI活用の可能性を探っていきましょう。

01. レコメンドでの活用事例(三越伊勢丹)

三越伊勢丹ホールディングスでは、ディープラーニングが搭載されたAIアプリ「SENSY」を活用して、高度なレコメンドを可能にしています。表示されたアイテムに対してユーザーが“好き”“嫌い”を選択することで、ユーザーの好み(センス)を学習。これを繰り返していくことで、その人それぞれにあったファッションをAIが提案してくれるようになります。

従来のレコメンドでは販売実績が少ないニッチな商品や新商品への適用が難しかったのですが、「SENSY」は“その人にあったテイスト”から提案することでそれをクリアしています。

02. Web広告でのAI活用事例(CANDY)

Web広告配信ネットワーク「CANDY」(キャンディ)では、AIの活用により“ユーザーの今の興味”に寄り添った広告表示を可能にしました。従来のWeb広告では、ユーザーがこれまでに閲覧したページをCookie(クッキー)から読みとって関連性の高いコンテンツを表示する方法が主流です。しかし、この方法では「グルメ」の記事を読んでいるのに「ゴルフ」の広告が表示されるといった具合に“今まさに興味を持っているもの”と関係ないコンテンツが表示されることも少なくありませんでした。

「CANDY」では、その人が今読んでいる日本語テキスト(記事)を理解した上で、関連性の高いコンテンツを表示するため、こうしたミスマッチを防いで高度なコンテンツマッチを実現しています。大手WEBポータルサイトにおける実証実験では、3倍ものクリックレートを達成したそうです。

03. 顧客対応でのAI活用事例(アスクル)

株式会社アスクルが運営する個人向け通販サービス「LOHACO」では、顧客対応に人工知能型チャットボット“マナミさん”を活用して顧客対応の充実を図っています。マナミさん導入前は、全お問い合わせの約4割にも上る時間外のお問合せに満足に対応できていませんでした。

そこで、LOHACOサイト内において、チャット形式で24時間365日リアルタイムにお客様のお問い合わせに対応するマナミさんを導入。まるで直接会話しているような自然なやり取りを可能とし、今では全お問い合わせの1/3をマナミさんが担当しています。オペレーターで対応したと仮定すると6.5人分の省人化に成功し、その分今いるオペレーターがより詳細かつ丁寧な対応が求められるお問い合わせに注力できるようになりました。

04. 顧客分析でのAI活用事例(IDOM)

中古車販売の株式会社IDOM(旧社名:株式会社ガリバーインターナショナル)では、一部店舗に来店者の属性や行動パターンをAIで解析する「ABEJA Dashboard」を導入し、店舗改善に役立てています。

「ABEJA Dashboard」が来店したゲストの行動をヒートマップで可視化してくれるため、お店のレイアウト・導線・接客の見直しにつながっているとのこと。展示車両の販売比率が他店舗より1割ほど高くなっているという結果も出ています。客観的なデータに基づく改善が難しかったオフラインでもAIが活用できることがわかる事例と言えます。


AIの活用でマーケッターの仕事はどう変わるのか?

これまで4つの事例をご紹介しました。世間では「AIがヒトの仕事を奪う」ということも懸念されていますが、果たして本当にそうと言えるのでしょうか?

まず、4つの事例からもマーケッターの仕事が今のカタチのまま在り続けることがないことは確実と言えるでしょう。

しかし、マーケッターの仕事が完全に無くなってしまうわけではありません。このことは、ヒトの感情が大きくかかわるような局面では、依然としてヒト対ヒトのコミュニケーションが求められていることが推測できるアスクルの事例からもわかります。

AIの活用で、マーケッターの仕事で大きなウェイトを占めている「分析」をはじめとする作業はより効率化されるでしょう。

しかし、その先の全体の戦略や各施策立案、戦略や施策を実行するためのステークホルダーの説得、実行するための最適なリソースの投下といったことはヒトにしかできないことです。

つまり、より高度な戦略立案能力や折衝能力があるヒトがマーケッターとして重宝されるようになるのではないでしょうか?


まとめ

今回は、最近話題を集めるAIについて4つの事例をご紹介した上で、マーケッターの仕事がどう変わるのかを推察しました。

AIだけではなく、あらゆるテクノロジーの進歩に応じて、ヒトに求められるスキルは変わってくるものです。「その時々で“ヒトがやるべきこと”を見極め、AIと上手く付き合っていくこと」がこれからの時代、重要になってくるのではないでしょうか?

Juicer サービスページはこちら

関連する記事を読む