大手旅行代理店出身のアドマンが教える「最新インバウンドマーケティング」[前編]

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企業における広告予算が縮小され広告業界での競争が激化する中、別予算で代理店の売上を上げることの出来るブルーオーシャンが存在していることをご存じでしょうか?

2020年夏季オリンピックの東京開催の決定や中国の爆買騒動、世の中の企業・国・行政における潤沢な予算は、国内予算の圧縮などから寄せ集められた訪日外国人を呼び込むための予算としてしっかりと存在しています。


直近の訪日外客数と市場動向について

日本政府観光局(JNTO)の2017年訪日外客数データによると2016年に日本を訪れた外国人の累計は24,039,053人と10月末時点での2,000万人突破より好調に増え続けています。

特に東京2020年の夏季オリンピックが決定して以来、業界における広告代理店の動きは活発になり「訪日前」「訪日中」「訪日後」と各フェーズにおいての媒体は増え、様々な戦略が飛び交うようになりました。

そんな中で今回は主にアジアと欧州に向けたプロモーション領域においてのターゲットやプロモーション上の特性、違いなどについてご説明をさせて頂きたいと思います。


アジア向けインバウンドプロモーションの特性

まず、ここでのアジアとは私が実際にプロモーションを行っていた中華圏や東南アジアを指しています。中華圏とは具体的に香港・台湾・中国、東南アジアとはインドネシア・フィリピン・ラオス・カンボジア・シンガポール・タイ・マレーシア・ベトナムを示しています。

2016年度におけるアジアの訪日外客数については前年と比較し22.7%の伸率で20,428,224人と非常に好調であり、2017年に入った今もまだ伸び続けています。

実際に空港での屋外広告やデジタルサイネージなどの出稿などがあるとは言え、これだけ自然と魅力を感じ訪日してくれるアジア人が大勢いれば日本の魅力やゴールデンルートを提唱するような認知施策や海外旅行サイトでの誘導施策(旅行予約)はほぼ不要と判断が出来ます。

訪日外客数推移(アジア計)出典:日本政府観光局(JNTO)

それよりもどちらかと言うと「訪日前」「訪日中」「訪日後」と各フェーズの中でも「訪日中」にどれだけ多くの訪日客にモノを購入してもらえるかや店舗に来てもらえるか、「訪日後」に自国からEC経由で継続的に自社商品を購入してもらえるかがプロモーションの鍵となります。


アジア向けO2O施策(Online to Offline)の特徴

前述の通り、アジア人へのプロモーションは「訪日中」にいかにお金を落として貰えるかが重要だとお伝えしました。つまりオンラインでの広告を通じてオフライン、実店舗への誘導が必要となります。

そのような場合、有効な媒体として挙げられるのが多言語対応をしているアドネットワーク系媒体やジオターゲティングを活用したもの、訪日中にも旅行客が常にアクセスしているSNS関連の媒体です。

インバウンドに有効な媒体


アジア向けプロモーションでよく使われる広告媒体

ここでいくつか訪日中の旅行客に対して有効な広告媒体 / アジア向けプロモーションでよく使われる広告媒体を紹介させて頂きます。

百度(バイドゥ)検索連動型広告 / アドネットワーク広告

グーグルに次ぐ世界で2番目に大きな検索エンジン。中国人に対してリスティング広告やディスプレイ広告を出稿する場合は百度を活用するのが一般的です。マツモトキヨシは百度を活用したクーポン施策で大幅な売上アップに繋がった実績があります。

グーグルアドワーズ(ターゲット地域設定)

通常のリスティング広告や、ディスプレイ広告とは別に実際の店舗の住所などを登録し、指定した半径に入ってきた旅行客に対してスマートフォン上で広告配信を行なうジオターゲティングメニュー。O2O施策での代表的に利用されるメニューです。

Facebook広告

グーグルや百度などの検索エンジンを活用した広告媒体とセットで展開されることが多いSNSの代表的メニューです。基本的に旅行者の大半はSNSにログインした状態で観光などをしているため幅広いユーザーに対してのリーチが可能となります。

Twitter広告(キーワードターゲティング)

ジオターゲティングに似ており、リアルタイムに近い配信が可能です。例えば過去1週間以内に「JAPAN」「TOKYO」など特定のワードでツイートをしている旅行客へのアプローチが出来ます。「JAPAN×SHOPPING」「日本のショップ名×LOVE」などとツイートしているユーザーには尚一層効果的なことが伺えます。

ラーチーゴー!

台湾、香港向けの日本情報サイトでFacebookページのファンも非常に多いのが特徴。訪日後もこちらの情報サイトを閲覧しているユーザーが多いため、ディスプレイがきっかけで店舗への誘導が可能な場合があることを考慮するとぜひ実施したい媒体です。

Rocketfuel

海外向けのDSP(自動学習機能を兼ね備えた広告配信システム)で代表的な商品となります。サイトに訪れたユーザーをリアルタイムにプロファイル分析し、ユーザー単位でスコアリングを行い、学習と拡張配信を行なうことが可能です。最適化までに時間を要する点が短期プロモーションには向いていません。

AdNer

全世界のモバイルアプリをネットワーク化し、ターゲティング広告を配信することが可能です。例えば、指定した国から日本へ訪問している旅行客に対してアプリ上での広告配信をすることも可能です。使い慣れたアプリは旅行先でも活用することが多いため非常に有効です。

Inmobi(訪日外国人ターゲティングパッケージ)

世界最大のモバイルアドネットワークを展開しているのが特徴です。訪日前と訪日後で使い分けが可能な訪日外国人ターゲティングパッケージを取り扱っており、媒体では珍しい富裕層ターゲティングなども兼ね備えています。


日本で通用するデザイン構成の勝ちパターンはアジアに通用しない

日本でディスプレイ広告を実施する際に制作するバナーデザインはどのようなものでしょうか?駅貼りや車内広告とは異なり1クリックを取るために様々な試行錯誤をされていることかと思います。

例えば、ユーザーの意識的な効果を配慮し、向かって正面左側にインパクトのある画像を置き、右に価格訴求のテキストを配置する構成を作ってみたり、安っぽいデザインにならないよう情報を整理しシックで高級感のあるデザインで作ってみたり様々なパターンが業種ごとに存在しています。

ある大手の一般消費財メーカーで中国向けプロモーションを行った時の出来事です。訪日前の中国人に対し、百度でのディスプレイ広告を活用し事前にすり込みを行い、訪日したタイミングで近隣のドラッグストアで消費財を購入してもらうという施策を行いました。

前述の通り、価格面や商品名訴求など消費財の魅力をある程度盛り込み、ビジュアル的にも日本で勝ちパターンとされるような構成要素で訴求を行ったものの、想定以上のクリック率がついてこず、その後も何度かバナーデザインを変更しABテストでの検証を行いました。

それでも思った以上にクリック率が上がらず、実際に中国で展開されているサイトをのぞいたり、中国の代理店に色々と情報を求めました。

すると面白いことに中国で展開されているバナーデザインは、情報が不足していると感じるほど余計なものが削ぎ落とされており、且つビビッドカラーなどの荒い原色が使われているものが大半を占めていることが分かりました。

率直に個人的な印象としては、日本では絶対にウケないであろうチープで玩具みたいなバナーデザインばかりでした。

さっそく検証を行なうべく、背景に黄色の原色を使用し、商品の画像をど真ん中に配置、よく見かける「日本で大人気」というコピーを付け加え配信を行いました。すると、驚くことにクリック率が当初の2.5倍ほどアップしました。

インバウンドに有効なバナーイメージ

その後も同様にチープでシンプルなバナーを制作、配信し続けたことで多くのユーザー誘導に成功し、結果売上拡大にも繋げることが出来ました。

このように日本国内で通用するスキームやロジックは決して、海外と共通しておらずそれぞれの国やユーザーの特性に合わせた細かいプロモーション設計が必要となります。


クリック率向上につながる広告コピーのご紹介(中国向けプロモーション)

最後に、中国向けプロモーションでクリック率の向上に繋がるコピーを一部だけご紹介させて頂きます。

中国向けキャッチコピー


まとめ

前編ではアジア領域においてはO2O施策がメイン施策になるとお伝えしました。つまり店舗での売上が基本的に指標となってきます。

昨年2016年の春~夏頃であれば爆買いの影響などもあり、複合的な広告施策でなくともシンプルな施策展開で売上直結に繋がっていましたが、冬~2017年においてはマーケットも落ち着き、単純な施策だけでは外国人がモノを購入してくれなくなりつつあります。

それらを考慮すると、更なるビーコンの活用やオフラインとのクロスプロモーション、訪日前からのアプローチなど新たに施策を探し出す必要性が出てくることが伺えます。ホテルの稼働率や各路線の乗車率など細かい動向を読み解きながら、先手先手に働きかけることがこの海外配信・インバウンド領域での必勝方法だと考えられます。 

次回は、潜在顧客ターゲット「訪日前」にフォーカスした欧州向けWEBプロモーションについて書かせて頂きます。